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コーンウォールで引き継がれる家と海

英国南西部の半島型の地域、コーンウォール Cornwall。 日本ではそこまで知られていない英国の西の果て、だが英国人にとっては憧れの避暑地である。著者 土橋は2019年3月25日に訪問した。ロンドンから車で約5時間の移動を経て到着するペンザンス。途中で広がる「コーニッシュ・リヴィエラ」と呼ばれる美しいエリアも、コンクリートで埋め尽くされた日本では見ることができないカントリーサイドの醍醐味であるが、 なんと言ってもコーンウォールは、海以外、「何もない」。そのなにもない土地に秘められた"引き継がれる物"について、今回はレポートしよう。



▶衰退と復活を繰り返す街、コーンウォール

英国屈指のリゾート地と言われるコーンウォールは、全長は約700キロメートルに及ぶ、英国内で最も長い海岸線を持つことで有名だ。 その海岸線で生み出される荒い波は、英国に限らず、世界中のサーファー達を引き寄せる「サーファーの聖地」でもある。


このエリアの歴史はとても長く、紀元前から人が住み始め、産業革命の時代に錫と銅の炭鉱業により大きく繁栄した。炭鉱だけでなく、良質の土が発見されたことで、18世紀頃より陶器の生産地としても有名になった。 しかし、19世紀後半になると炭鉱も陶器も衰退。活気あった街の人々は、ロンドン等の大都市に流出し、コーンウォールは大きく衰退した。


しかし、21世紀になってまた息を吹き返す。 2006年にコーンウォールと西デヴォン地域の鉱山跡地ユネスコの世界遺産に認定されたことや、良質なシーフード料理、遺跡を巡る旅など、観光先として注目を浴びるようになったのだ。 このドラスティックの変化を経て、英国屈指のリゾート地となったのがコーンウォールの今である。



VisitCornwall: https://www.visitcornwall.com/


▶コーンウォールの英国人宅の訪問


著者は、20年以上前から交流のあったコールドロン婦人のコーンウォールの自宅を訪ねた。 その婦人の自宅は、ビクトリアン時代の産業革命にこの地が繁栄した頃に建てられたもので、とても歴史を感じる荘厳な家だ。


いつも私を暖かく招き入れてくれる婦人は、「All-you-can-eat」と私に言ってお手製のラザニアをふるまってくれた。 英国の家庭ではとてもポピュラーな「おもてなし」である。 この変わらない英国人家庭のひとときに、とてつもない「懐かしさ」を感じた。その歴史ある邸宅で、引き継がれた食器でいただく、素朴な料理が、大都市ロンドンでは味わうことのできない「英国」であった。


コーンウォールには何もない。 でも、それが良いのだ。 何でもあるロンドンと対極であり、湖水地方やコッツウォルズとはまた違う、この荒涼とした海こそ、ネット依存の現代人が求める聖地である。


▶コーンウォールで引き継がれる家と海

今回のコーンウォール訪問でも、英国アンティークと家にある共通点を見出した。


本マガジンが提唱している「過去はいつも新しい。本物の未来はいつも懐かしい。」だ。


スズの炭鉱町として栄えたコーンウォールは、スズ産業が衰退し、今は観光が街の主な産業となっている。 ただし、稼ぐ産業が変化しても、スズが全盛期だった頃のゴージャスな家は未だに残り、引き継がれていた。 避暑地に訪れる英国人のために、数点のお土産屋が今でもスズのアクセサリーを販売しているのを見ると、炭鉱街であった時代の誇りと哀愁が感じられる。変化する街の中に、引き継がれ進化する家が確かに存在した。


つまり、家も次の所有者に引き継がれ時代に適応してアンティークとなっているのである。この歴史のバトンタッチをこれからもアンティーク好きの皆様と共有させていただきたい。


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